添付資料1
分別管理に係る内部統制のフレームワーク統制目標及び統制要点例
1 全般的事項
統制目標 統制要点例
(1) 取締役が分別管理の 法令遵守の重要性を認 識し、かつ、会社の分別 管理の法令遵守の状況 を適時に把握している こと
① 取締役が、顧客資産の分別管理制度が投資者保護ひいては 証券市場の健全な発展に資するものであることを理解した 上で、分別管理の法令遵守の重要性を認識している。 ② 分別管理の法令遵守の状況に関し、取締役会等(第一種金
融商品取引業を行う外国法人の本邦支店における最高意思 決定機関を含むものとする。以下同じ。)、代表取締役及び 内部管理統括責任者等に対する適切な報告体制が存在し、 それが適切に運用されている。
(2) 分別管理の法令遵守 のための組織体制等が 整備され、個々の職員 が分別管理の法令、社 内規程等を十分理解し た上で日々の業務を行 っていること
③ 分別管理の法令を遵守するための管理方法、担当部署等が 明確に定められ、それらが文書化(規程・マニュアル等) された上で、関係役職員に周知徹底させる体制が整備され、 適切に運用されている。
また、分別管理の関連法令や諸規則に変更があった場合、 社内へ周知徹底させるための体制や、関連するシステム及 びプログラムを変更するための体制が整備され、適切に運 用されている。
④ 分別管理に関して発見された法令違反や金融庁の検査・ 日本証券業協会の監査等において指摘された事項について 適切に対応するための体制が整備され、適切に運用されて いる。
(3) 独立した部署が、分 別管理の状況を適切に モニターしていること
⑤ 内部監査部門等の独立した部署が、分別管理の法令遵守が 適正に実行されていることを定期的に検証し、検証結果を 取締役会等に適切に報告する体制が整備され、適切に運用 されている。
2 有価証券の分別管理
統制目標 統制要点例
2-1 一般的事項 関係役職員が、分別
管理の法令で要求され ている分別管理すべき 顧客有価証券の範囲を 金融商品取引業者の業 務及び取扱商品に則し て、網羅的に、かつ、正 確に把握していること
投資約款」等)を適宜締結する体制が整備され、適切に運用 されている。
② 会社として分別管理すべき顧客有価証券の範囲、管理方法 及び管理場所を、分別管理の法令に準拠して、個々の業務及 び取扱商品等に則して明確にした上で、社内規程等が整備 され、適切に運用されている。
また、その際、新商品、取引形態等の変化に対して、いかに 対応するかに関し、社内規程等が整備され、適切に運用され ている。
<参考>
分別の対象となる有価証券
1.売付けのために顧客から一時的に預託を受けた有価証 券
2.保護預り契約又は振替決済口座管理契約に基づき顧客 から預託を受けた有価証券
3.信用取引委託保証金・市場デリバティブ取引又は 外国 市場デリバティブ取引(先物・オプション取引)委託証 拠金・発行日取引委託保証金の代用有価証券(添付資料 2参照)
4.その他、有価証券関連業又は有価証券関連業に付随す る業務として金融商品取引業等に関する内閣府令(以下 「金商業等府令」という。)で定めるものに係る取引に関 し、顧客の計算において金融商品取引業者が占有する有 価証券又は金融商品取引業者が顧客から預託を受けた有 価証券
上記のうち分別の対象とならない有価証券
1.有価証券関連業に係る店頭デリバティブ取引(第一種 金融商品取引業者、登録金融機関、適格機関投資家及び資 本金10億円以上の株式会社等を相手方として行う取引 に限る。)及び選択権付債券売買取引(第一種金融商品 取引業者、登録金融機関、適格機関投資家及び資本金10 億円以上の株式会社等を相手方として行う取引に限 る。)に係るもの
有価証券等)
3.再担保に供した信用取引委託保証金代用有価証券のう ち、金融商品取引法(以下「金商法」という。)第43条の 2第2項の規定により分別されるもの(添付資料2参 照)
4.国内又は海外の金融商品取引所又は金融商品取引清算 機関に直接預託している市場デリバティブ取引又は外国 市場デリバティブ取引(先物・オプション取引)委託証 拠金代用有価証券(添付資料2参照)
2-2 自社保管
(1) 分別管理すべき顧客 有価証券のうち、自社 保管分について、その 残高を網羅的に把握し た上で、法令で要求さ れている方法によって 保管することにより管 理していること(混蔵 保管、混蔵保管以外)
① 自社保管の顧客有価証券につき、顧客と合意した保管方法 ごとに、分別管理の法令で要求されている以下の方法に従 って、保管業務が行われ、かつ、会計/帳簿記録が金融商品 取引業者において保有されていることを確保するための体 制が整備され、適切に運用されている。
<単純保管>
金融商品取引業者が自己の固有財産と分別して保管し なければならない有価証券(以下「顧客有価証券」とい う。)の保管場所と、自己の固有財産である有価証券その 他の顧客有価証券以外の有価証券(以下「固有有価証券 等」という。)の保管場所とを明確に区分し、顧客有価証 券について、どの顧客の有価証券であるかが直ちに判別 できる状態(例えば、顧客別あるいは証券の記番号順か つ顧客別で保管)で保管することにより管理する。 <混蔵保管>
② 営業部店等の内部管理責任者は分別管理の対象となる有 価証券が、営業部店等に長期に滞留していないかを検証し、 滞留している場合には、その原因分析を行った上で適切な 処置を行う体制が整備され、適切に運用されている。 ③ 顧客との受渡しのために営業員等が持ち出した有価証券
及び持ち帰った有価証券に関し、入出庫の際に現物と入出 庫指図書等との照合を行うなど、適切に分別管理がなされ る体制が整備され、適切に運用されている。
(2) 金融商品取引業者が 占有するすべての有価 証券のうち、自社保管 の有価証券の帳簿残高 の実在性及び分別管理 の状況(単純・混蔵、 共有の別に)が確かめ られていること
④ 金融商品取引業者が占有するすべての有価証券のうち自 社保管の有価証券について、定期的に現物実査が網羅的に 行われ、かつ、会計/帳簿記録との照合がなされるための体 制が整備され、適切に運用されている。留意事項の例として は以下のとおりである。
- 出納担当者と実査担当者は分離している。(4-5 (1)⑦参照)
- 同一の実査担当者が同一の保管有価証券を継続的に確 認することがないようローテーション運用等の体制がと られている。
- 実査の頻度は、業務内容及び管理体制の状況に応じた 適切なものである。
- 実査で用いるデ-タ(若しくは帳票)と会計その他の 記録との整合性を確保する手段が講じられている。 - 実査の結果判明した不一致への対応及び内部管理統括
責任者・内部監査部門等への報告手続が確保されている。 - 実査の結果及び照合結果・顛末は文書化され保管され
ている。
- 共有有価証券等、顧客・自己を物理的に分離できない 有価証券がある場合、それらの保管状態及び照合手続が 法令に準拠したものである。
- 保管責任者が実査漏れの有無について確認している。 - 保管責任者によるサンプリング等により、保管の実態
を踏まえた適切な実査が行われている。
-1 (1)参照)
⑥ 顧客有価証券残高のみならず、固有有価証券等(自己勘定 残高・借入有価証券・デリバティブ取引受入担保有価証券 等)を含めた、金融商品取引業者の占有するすべての有価 証券を網羅的に把握し、かつ、それらの保管場所と網羅的に 照合する等、顧客有価証券と固有有価証券等との混在がな いことを包括的に検証する体制が整備され、適切に運用さ れている。
(3) 現物有価証券が保全 されていること
⑦ 搬送中の有価証券、入出庫される現物有価証券及び保管中 の現物有価証券を保全するための体制が整備され、適切に 運用されている。留意事項の例としては、以下のとおりであ る。(4-5参照)
- 金庫への入退室管理・重要鍵管理等、適切かつ十分な 管理が行われている。
- 盗難を防止するため、防犯組織を整備し、防犯責任者を 明確にしている。
- 保管有価証券保管施設が明確に定められ、防災責任者 を配置する等十分な防災対策が採られている。
- 保管有価証券の輸送を第三者に委託している場合には 、 輸送に係る委託契約において保管有価証券の保全のため の措置が採られている。
2-3 第三者機関保管 (1) 第三者機関において
保管させることにより 管理することにつき、 顧客の同意を得ている こと
① 第三者機関(証券代行会社、他の金融商品取引業者、海外 の証券保管機関など)において保管する場合には、顧客か ら約款等による再寄託同意を得る体制が整備され、適切に 運用されている。
(2) 顧客有価証券の保管 を行う第三者機関の選 定が顧客資産の保全と いう観点から適切であ ること
② 第三者機関の信用状況及び管理状況を検討する体制が整 備され、適切に運用されている。留意事項の例としては、以 下のとおりである。
- 新規口座開設時及び定期的見直しに関し第三者機関の 選定基準が定められている。
- 第三者機関の信用状況を把握するための情報が適時に 入手され、分析されている。
いる。
- 外部監査等により、適正に管理業務を行っているかの 検証がなされているか確認し、その検証結果又は証明書 など、検証内容が把握できる資料が入手されている。 ③ 第三者機関との間で、分別管理の法令に則した適切な寄託
契約を締結する体制が整備され、適切に運用されている。特 に海外の証券保管機関との間で契約を締結する場合には、 留置権的な権利条項を定めることのないよう留意する。 (3) 分別管理すべき顧客
有価証券のうち、自社 保管以外について、そ の残高を網羅的に把握 した上で、分別管理の 法令で要求されている 方法によって保管させ ることにより管理して いること(混蔵保管、 混蔵保管以外)
④ 自社保管以外の顧客有価証券に関し、顧客と合意した保管 方法ごとに、分別管理の法令で要求されている以下の方法 に従って、保管業務が行われ、かつ、会計その他の記録が金 融商品取引業者において保有されていることを確保するた めの体制が整備され、適切に運用されている。
<単純保管>
第三者機関において、顧客有価証券の保管場所につい て固有有価証券等の保管場所と明確に区分させ、かつ、当 該顧客有価証券についてどの顧客の有価証券であるかが 直ちに判別できる状態で保管させることにより管理する。 <混蔵保管>
第三者機関において、金融商品取引業者の口座と顧客 のための口座とを区分する等の方法により、顧客有価証 券の保管場所について固有有価証券等の保管場所と明確 に区分し顧客全体の有価証券に係る持分が直ちに判別で きるようにするとともに、当該顧客有価証券に係る各顧 客の持分が金融商品取引業者の帳簿等により直ちに判別 できる状態で保管させることにより管理する。なお、金融 商品取引業者と顧客との間で共有関係にある有価証券 (累積投資商品、ミニ株等のうち金融商品取引業者と顧 客の共有関係にある証券)については、個々の顧客の持 分が金融商品取引業者の帳簿等により直ちに判別できる 状態で管理する。
適切に運用されている。
委託業務たる有価証券の保管業務に係る内部統制の有効 性の評価を、受託会社の外部監査人が検証し報告している 場合には、日本公認会計士協会監査基準委員会報告書402 「業務を委託している企業の監査上の考慮事項」第11項を
参照のこと。
⑥ 海外の証券保管機関において(現地の法規制を理由に) 顧客有価証券に係る持分と固有有価証券等に係る持分等と を区分して管理させることができない場合には、金融商品 取引業者において分別管理の法令に準拠した記録(顧客有 価証券に係る各顧客の持分が金融商品取引業者の帳簿等に より直ちに判別できる状態)を保有するための体制が整備 され、適切に運用されている。
⑦ 名義書換等のため発行会社若しくは株主名簿管理人へ提 供した有価証券に関し、当該有価証券の銘柄、数量及び提供 先が委任顧客ごとに直ちに帳簿等で確認できるとともに、 定期的に発行会社若しくは株主名簿管理人と残高を確認・ 照合し、照合結果を文書化する等の手続が存在し、適切に運 用されている。
⑧ 新規発行債券等で現物の有価証券が存在しない場合でも、 当該有価証券の銘柄及び数量が顧客ごとに直ちに帳簿等で 確認できるとともに、定期的に残高の実在性を確認・照合 し、照合結果を文書化する等の手続が存在し、適切に運用さ れている。
(4) 金融商品取引業者が 占有するすべての有価 証券のうち、第三者機 関に保管させることに より管理している有価 証券の帳簿残高の実在 性及び分別管理の状況 (単純・混蔵・共有の 別に)が確かめられて いること
⑨ 第三者機関保管有価証券について、金融商品取引業者の会 計/帳簿記録と第三者機関の報告書との間で、定期的に残 高照合が行われ、その結果判明した差異が、速やかに調査・ 解決されることを確保する手続が整備され、適切に運用さ れている。留意事項の例としては以下のとおりである。(4 -3(2)③参照)
- 移動の都度、ただし最低でも月次で照合が行われてい る。
- 照合の結果判明した不一致への対応、報告手続が確保 されている。
- 照合手続は、名義のいかんにかかわらず、金融商品取引 業者が占有するすべての有価証券が含まれており、かつ、 それらの有価証券が適切な顧客口座等に識別・記録され ていることを確認するための手続が存在している。 ⑩ 顧客有価証券の残高について、取引残高報告書が定期的
に送付され、顧客からの返答及び苦情等が報告され、解決さ れるための手続が整備され、適切に運用されている。(4- 1(1)参照)
⑪ 顧客有価証券残高のみならず、固有有価証券等(自己勘 定残高・借入有価証券・デリバティブ取引受入担保有価証券 等)を含めた、金融商品取引業者の占有するすべての有価 証券を網羅的に把握し、かつ、それらの保管場所と網羅的に 照合する等、顧客有価証券と固有有価証券等との混在がな いことを包括的に検証する体制が整備され、適切に運用さ れている。
2-4 口座管理
(1) 分別管理すべき顧客 有価証券のうち、社債、 株式等の振替に関する 法律(以下「振替法」と いう。)の規定に基づ く振替口座簿において 管理するものについて その残高を網羅的に把 握した上で、分別管理 の法令で要求されてい る方法によって管理し ていること
① 振替法の規定に基づく振替口座簿において管理している 顧客有価証券につき、分別管理の法令で要求されている方 法に従って、口座管理が行われ、かつ、会計/帳簿記録が金 融商品取引業者において保有されていることを確保するた めの体制が整備され、適切に運用されている。
(2) 金融商品取引業者が 占有するすべての有価 証券のうち、振替法に 基づく振替口座簿にお いて管理している有価 証券の帳簿残高の実在 性及び分別管理の状況
② 金融商品取引業者が占有するすべての有価証券のうち、振 替法に基づく振替口座簿において管理している有価証券の 帳簿残高の実在性及び分別管理の状況を確かめるための体 制が整備され、適切に運営されている。
が確かめられているこ と
期的に残高照合が行われ、その結果判明した差異が、速 やかに調査・解決されることを確保する手続が整備さ れ、適切に運用されている。留意事項の例としては以下 のとおりである。
- 移動の都度、ただし最低でも月次で照合が行われ ている。
- 照合の結果判明した不一致への対応、報告手続が 確保されている。
- 照合結果・顛末が文書化されている。
- 照合手続は、名義のいかんにかかわらず、金融商品 取引業者が占有するすべての有価証券が含まれてお り、かつ、それらの有価証券が適切な顧客口座等に識 別・記録されていることを確認するための手続が存 在している。
ロ 顧客有価証券の残高について、取引残高報告書が定 期的に送付され、顧客からの返答及び苦情等が報告さ れ、解決されるための手続が整備され、適切に運用され ている。(4-1(1)参照)
ハ 顧客有価証券残高のみならず、固有有価証券等(自 己勘定残高・借入有価証券・デリバティブ取引受入担保 有価証券等)を含めた、金融商品取引業者の占有する すべての有価証券を網羅的に把握し、かつ、それらの管 理方法と網羅的に照合する等、顧客有価証券と固有有 価証券等との混在がないことを包括的に検証する体制 が整備され、適切に運用されている。
3 金銭等の分別管理3-1 金銭等の分別管理(対象有価証券関連店頭デリバティブ取 引等に係るものを除く。)
統制目標 統制要点例
3-1-1 一般的事項 (1) 関係役職員が、分別
管理の法令で要求され ている分別管理すべき 顧客分別金(対象有価 証券関連店頭デリバテ
① 分別管理の法令で要求されている分別管理すべき顧客分 別金の範囲を、関係役職員が網羅的かつ正確に把握するた めの体制が整備され、適切に運用されている。また、新商品、 新規顧客、取引形態等の変化にいかに対応するかに関し、規 程が整備され、適切に運用されている。
ィブ取引等に係る顧客 分別金を除く。以下3 -1において同じ。) の範囲を、金融商品取 引業者の業務及び取扱 商品に則して、網羅的 に、かつ、正確に把握し ていること
分別の対象となる顧客分別金
1.有価証券関連業又は有価証券関連業に付随する業務と して金商業等府令で定めるものに係る取引に関し、顧客 の計算に属する金銭又は金融商品取引業者が顧客から預 託を受けた金銭
2.再担保に供された信用取引委託保証金代用有価証券の 時価相当額(添付資料2参照)
3.再担保に供された発行日取引委託保証金代用有価証券 の時価相当額(添付資料2参照)
4.金融商品取引所又は金融商品取引清算機関に差替預託 した場合の市場デリバティブ取引(先物・オプション取 引)委託(取次)証拠金代用有価証券の時価相当額(添 付資料2参照)
上記のうち分別の対象とならないもの
金融商品取引所又は金融商品取引清算機関に直接預託 した場合の市場デリバティブ取引(先物・オプション取 引)委託(取次)証拠金(添付資料2参照)
② 顧客との受渡しのために営業員等が持ち出した金銭及び 持ち帰った金銭に関し、適切に分別管理がなされるための 体制が整備され、適切に運用されている。
(2) 顧客分別金信託勘定 を設定する信託銀行の 選定が、顧客資産の保 全という観点から適切 であること
③ 顧客分別金信託勘定を設定する信託銀行の信託財産の管 理状況及び信用状況等を検討する体制が整備され、適切に 運用されている。留意事項の例としては、以下のとおりであ る。
- 新規口座開設時及び定期的見直しに関し信託銀行の選 定基準が定められている。
- 信託銀行の信託財産の管理状況及び信用状況を把握す るための情報が適時に入手され、分析されている。 委託業務たる信託財産の管理業務に係る内部統制の有効 性の評価を、受託会社の外部監査人が検証し報告している 場合には、日本公認会計士協会監査基準委員会報告書402 「業務を委託している企業の監査上の考慮事項」第11項を
参照のこと。 (3) 顧客分別金信託勘定
の設定に係る信託銀行
との契約が、分別管理 の法令に定められた条 項を含んでいること
- 信託会社又は信託業務を営む金融機関を受託者とする こと。
- 金融商品取引業者を委託者とすること。
- 当該金融商品取引業者の行う金融商品取引業に係る顧 客を元本の受益者とすること。
- 受益者代理人を選任すること。金融商品取引業者が通 知金融商品取引業者に該当することとなった場合には、 投資者保護基金を受益者代理人とすること。
⑤ 信託財産の運用方法が分別管理の法令に準拠している。す なわち、信託契約において、投資対象を以下の項目に限定し ている。
- 国債その他金融庁長官の指定する有価証券の保有 - 金融庁長官の指定する銀行その他の金融機関への預金 - その他金融庁長官の指定する方法(コール資金の貸付
けや受託者である信託銀行に対する銀行勘定貸及び元本 補てんの契約をした金銭信託等)
3-1-2 顧客分別金 管理体制
(1) 分別金の算定方法、 算定対象が規定され、 かつ、算定の基となる データの記録内容の正 確性及び網羅性並びに 会計/帳簿記録との整 合性が確保されている こと
① 顧客分別金の算定及び顧客分別金信託における分別管理 が法令に準拠して、網羅的にかつ正確に管理されるための 体制が整備され、適切に運用されている。留意事項の例とし ては以下のとおりである。
- 顧客分別金の算定方法及び算定対象が、社内規程・マ ニュアル等に規定されている。
- 顧客分別金算定の基となるデータの記録内容の正確性 及び網羅性を確保する手段が講じられている。
- 顧客分別金算定の基となるデータと会計/帳簿記録と の整合性が確保される手段が講じられている。
- 社内規程等において、顧客分別金信託に係る差替計算 基準日のほか、差替基準日が休業日である場合における 取扱い(差替基準日あるいは差替日が休日の場合は、そ の前日に繰上げるか、翌日に繰り延べるかについてのル ール)が定められている。
(2) 顧客分別金の合計額 としての顧客分別金必 要額の算定が、分別管 理の法令及び社内規程
② 金融商品取引業者が、毎日、分別管理の法令及び社内規程 に準拠して、以下のような顧客ごとの顧客分別金の算定を 行う体制が整備され、適切に運用されている。
に準拠して網羅的、か つ、正確になされてい ること
時価(その日の公表されている最終の価格又はこれに準 ずるものとして合理的な方法により算出した価格)の合 計額
上記から以下の項目を差し引くことができる:
* 金融商品取引業者が顧客に対して有する債権(当該 顧客が買い付けた有価証券の買付代金の立替金に係る もので、当該有価証券が分別管理されているもの) * 顧客が信用取引により売り付けた有価証券の売付代
金である金銭で、当該信用取引につき金融商品取引業 者が当該顧客に供与した信用に係る債権の担保に供さ れているもの(信用取引の本担保現金)(添付資料2 参照)
* 顧客の信用取引に係る額(金商業等府令第139条第 1項第3号及び第2項)、ただし、その額が当該顧客の 信用取引に係る受入保証金として預託された金銭の額 及び有価証券の時価の合計額を超える場合にあっては、 当該合計額とする。(添付資料2参照)
* 現先取引(債券等の買戻・売戻条件付売買)に係る 契約により顧客が担保に供した金銭の額
③ 日次の顧客ごとの顧客分別金の算定に当たって、顧客から 預託を受けた信用取引保証金代用有価証券を証券金融会社 又は母店金融商品取引業者等に担保として提供する場合に おいて、分別管理の法令(金商業等府令第140条)の要件 をすべて満たす場合にのみ、当該信用取引保証金代用有価 証券の時価を分別金の算定から除外する手続が整備され、 適切に運用されている。その場合、法令の要件を満たしてい ることを確認できる証券金融会社又は母店金融商品取引業 者等との信用取引に係る分別管理に関する相互管理規程、 契約書等が締結されていること(添付資料2参照)。 ④ 顧客ごとの顧客分別金の算定において、以下の項目が考慮
されている(海外の証券保管機関、銀行に保有されている 顧客の金銭を含む。)。
る。
- 有価証券の売却に関連して、金融商品取引業者が顧客 の代理として受領した金銭のうち、いまだ顧客に支払わ れていないもの
- 顧客の代理として受領した配当金・利金・償還金等の うち、いまだ顧客へ支払われていないもの
- 分別管理の法令に準拠した市場デリバティブ取引(先 物・オプション取引)に係る委託(取次)証拠金現金・ 代用有価証券の金額(添付資料2参照)
- 分別管理の法令に準拠した信用取引に係る金銭・有価 証券の金額(添付資料2参照)
- 分別管理の法令に準拠した発行日取引に係る金銭・有 価証券の金額(添付資料2参照)
⑤ 金融商品取引業者が、毎日、顧客分別金必要額の算定を顧 客ごとの顧客分別金の合計額として、分別管理の法令に準 拠して行う手続が整備され、適切に運用されている。 ⑥ 以下の点に関して、金融商品取引業者が顧客分別金を正確
かつ網羅的に算定するために、適切な取扱いが規定され、運 用されている。
- 海外銀行口座における金銭の受領:基準日に分別金額 を算定する際に、どの時点をカットオフとするかについ ての方針が明確化され、一貫して運用されている。 - 不明入金調整:受領日に内容が不明の入金に関する後
日の調整につき、分別金算定上の取扱いにつき方針が明 確化され、一貫して運用されている。
- 外貨預り金:必要額の計算対象とされ、かつ、当該計算 に用いる換算レートが明確化され、一貫して運用されて いる。
⑦ 顧客取引に関連するフェイルが生じた場合に関し、顧客分 別金の分別管理の適切な取扱いが規定され、一貫して運用 されている。
(3) 顧客分別金信託口座 に、分別管理の法令で 規定された必要金額が 預託されていること
が整備され、かつ適切に運用されている。
⑨ 顧客分別金信託が有価証券の信託又は包括信託である場 合には、信託される有価証券が、国債その他の金融庁長官が 指定する有価証券であることを確認するための手続が整備 され、適切に運用されている。
⑩ 顧客分別金信託が有価証券の信託又は包括信託である場 合には、信託財産である有価証券につき、貸付けによる運用 を行わないことが、信託契約に明記されている。
⑪ 金融商品取引業者が差替計算基準日の算定を行う際、顧 客分別金信託勘定に差し入れられている有価証券の評価額 が、時価(その日の公表されている最終の価格又はこれに 準ずるものとして合理的な方法により算出した価格)を基 に算出されることを確保するための手続が整備され、運用 されている。また、基準日において算定が行われる際には、 当該基準日の時価に金融庁長官が定める率を乗じて得た額 を超えない額であることを確認する手続が存在し、適切に 運用されている。
(4) 顧客分別金信託口座 への入出金等が分別管 理の法令に準拠し、適 切な手続の下に行われ ていること
⑫ 日次の顧客分別金必要額の算定に基づく不足額について、 最低週に1回は、差替計算基準日から3営業日以内に、顧客 分別金信託勘定へ資金又は有価証券の移動が行われている ことを確認する手続が整備され、適切に運用されている。 ⑬ 顧客分別金信託に係る信託契約の解約・一部解約は、分
別管理の法令に準拠して、以下の場合に限定されているこ とを確保するための手続が整備され、適切に運用されてい ること。
- 差替基準日の信託財産の元本の評価額が顧客分別金必 要額を超過する場合、当該超過額相当金額の範囲内で解 約等を行う場合
- 募集等受入金の払込日に当該募集等受入金に係る顧客 分別金相当額の範囲内で解約等を行う場合
- 他の顧客分別金信託契約に変更するために解約等を行 う場合
に運用されている。また、入出金の記録が、適時に正確にか つ網羅的に行われるための体制が整備され、適切に運用さ れている。
(5) 顧客分別金口座帳簿 残高と当該信託銀行の 残高とを定期的に照合 する手続が存在するこ と
⑮ 顧客分別金信託勘定に関して、信託銀行から入手した報 告書と会計/帳簿記録との間で定期的に勘定残高照合が行 われる体制が整備され、適切に運用されている。留意事項の 例としては、以下のとおりである。
- 照合の頻度は最低でも週次である。
- 顧客分別金信託への入出金業務を行わない独立した部 署等で照合が行われている。
- 照合の結果発見された不一致項目に関して、適時かつ 適切に調査・解決されている。
- 照合結果及び顛末が文書化され、管理者に報告されて いる。
3-2 金銭等の分別管理(対象有価証券関連店頭デリバティブ取引等に係るものに限 る。)
統制目標 統制要点例
3-2-1 一般的事項 (1) 関係役職員が、分別
管理の法令で要求され ている分別管理すべき 顧客分別金(対象有価 証券関連店頭デリバテ ィブ取引等に係る顧客 分別金に限る。以下3 -2において同じ。) の範囲を、金融商品取 引業者の業務及び取扱 商品に則して、網羅的 に、かつ、正確に把握し ていること
① 分別管理の法令で要求されている分別管理すべき顧客分 別金の範囲を、関係役職員が網羅的かつ正確に把握するた めの体制が整備され、適切に運用されている。また、新商品、 新規顧客、取引形態等の変化にいかに対応するかに関し、規 程が整備され、適切に運用されている。
<参考>
分別の対象となる顧客分別金
金商法第43条の2第2項第2号に掲げる金銭及び同項 第3号に掲げる有価証券(同項第2号に規定する対象有価 証券関連取引(次に掲げる取引に該当するものに限る。) に関するものに限る。)
*対象有価証券関連店頭デリバティブ取引等 ① 店頭デリバティブ取引
② 外国市場デリバティブ取引 ③ 選択権付債券売買取引
上記のうち分別の対象とならないもの
金融商品取引業者、登録金融機関、適格機関投資家及び資 本金10億円以上の株式会社等を相手方として行う取引 に限る。)及び選択権付債券売買取引(第一種金融商品 取引業者、登録金融機関、適格機関投資家及び資本金10 億円以上の株式会社等を相手方として行う取引に限 る。)に係るもの
2.海外の金融商品取引所又は金融商品取引清算機関に直 接預託した場合の外国市場デリバティブ取引(先物・オ プション取引)委託(取次)証拠金(添付資料2参照) ② 顧客との受渡しのために営業員等が持ち出した金銭及び
持ち帰った金銭に関し、適切に分別管理がなされるための 体制が整備され、適切に運用されている。
(2) 顧客分別金信託勘定 を設定する信託銀行の 選定が、顧客資産の保 全という観点から適切 であること
③ 顧客分別金信託勘定を設定する信託銀行の信託財産の管 理状況及び信用状況等を検討する体制が整備され、適切に 運用されている。留意事項の例としては、以下のとおりであ る。
- 新規口座開設時及び定期的見直しに関し信託銀行の選 定基準が定められている。
- 信託銀行の信託財産の管理状況及び信用状況を把握す るための情報が適時に入手され、分析されている。 委託業務たる信託財産の管理業務に係る内部統制の有効 性の評価を、受託会社の外部監査人が検証し報告している 場合には、日本公認会計士協会監査基準委員会報告書402 「業務を委託している企業の監査上の考慮事項」第11項を
参照のこと。 (3) 顧客分別金信託勘定
の設定に係る信託銀行 との契約が、分別管理 の法令に定められた条 項を含んでいること
④ 信託勘定の内容が分別管理の法令に準拠している。すなわ ち、信託契約が以下の点を明確にしている。
- 信託会社又は信託業務を営む金融機関を受託者とする こと。
- 金融商品取引業者を委託者とすること。
- 当該金融商品取引業者の行う対象有価証券関連店頭デ リバティブ取引等に係る顧客を元本の受益者とすること。 - 受益者代理人を選任すること(当該受益者代理人のう
品取引業者が金商業等府令第141条の2第1項第4号に 掲げる要件に該当することとなった場合には、弁護士等 である受益者代理人のみがその権限を行使するものであ ること。
⑤ 信託財産の運用方法が分別管理の法令に準拠している。す なわち、信託契約において、投資対象を金商業等府令第141 条の2第1項第5号に掲げる方法によるものに限定してい る。
- 国債、地方債並びに公社、公庫及び公団の発行する有価 証券等の保有
- 銀行その他の金融機関への預金又は貯金
- その他(コールローンや受託者である信託銀行に対す る銀行勘定貸及び元本補てんの契約のある金銭信託) ⑥ 「対象有価証券関連店頭デリバティブ取引等に係る顧客分
別金信託」(以下、この項目⑥において「顧客分別金信託」 という。)及び「通貨関連デリバティブ取引等に係る顧客区 分管理信託」(以下、この項目⑥において「顧客区分管理信 託」という。)をまとめて1つの信託契約で締結する場合、 投資者保護に支障がないような措置を講じている。措置例 としては、以下のとおりである。
イ 顧客分別金信託及び顧客区分管理信託について、金商 法及び金商業等府令等の規定に則って顧客ごとに必要と なる金額を計算したうえで、当該一の信託契約に基づき 合算して信託し、管理している。
ロ 元本受益権行使事由(金融商品取引業者の破産等)が 生じた際に、一の信託契約とする場合であっても、商品 間・顧客間に不公正、利益相反が生じることなく、顧客に 適正な金額が返還されるようにするため(別々の信託契 約を締結する場合と同等の取扱いとするため)、次の規 定を当該一の信託契約の特約として盛り込んでいる(信 託契約の特約に関して、信託法や破産法等との関係にお いても、有効であるかを法律専門家に確認している)。 - 元本受益権行使事由(金融商品取引業者の破産等)
* 顧客分別金信託に係る元本受益者
元本受益権を行使した日における顧客分別金信託 の元本換価額に、顧客分別金信託の各元本受益者の 個別顧客分別金額を当該日における顧客分別金必要 額で除して得られる割合を乗じて得た金額(ただし、 この金額が各元本受益者の個別顧客分別金額を超え る場合は、各元本受益者の個別顧客分別金額) * 顧客区分管理信託に係る元本受益者
元本受益権を行使した日における顧客区分管理信 託の元本換価額に、顧客区分管理信託に係る各元本 受益者の個別顧客区分管理金額を当該日における顧 客区分管理必要額で除して得られる割合を乗じて得 た金額(ただし、この金額が各元本受益者の個別顧客 区分管理金額を超える場合は、各元本受益者の個別 顧客区分管理金額)
- 顧客分別金信託及び顧客区分管理信託のそれぞれに 相当する元本換価額については、受益者代理人が、金融 商品取引業者の作成する帳簿により管理された額をも とに計算する旨
3-2-2 顧客分別金 管理体制
(1) 分別金の算定方法、 算定対象が規定され、 かつ、算定の基となる データの記録内容の正 確性及び網羅性並びに 会計/帳簿記録との整 合性が確保されている こと
① 顧客分別金の算定及び顧客分別金信託における分別管理 が法令に準拠して、網羅的にかつ正確に管理されるための 体制が整備され、適切に運用されている。留意事項の例とし ては以下のとおりである。
- 顧客分別金の算定方法及び算定対象が、社内規程・マ ニュアル等に規定されている。
- 顧客分別金算定の基となるデータの記録内容の正確性 及び網羅性を確保する手段が講じられている。
- 顧客分別金算定の基となるデータと会計/帳簿記録と の整合性が確保される手段が講じられている。
(2) 顧客分別金の合計額 としての顧客分別金必 要額の算定が、分別管 理の法令及び社内規程 に準拠して網羅的、か つ、正確になされてい ること
② 金融商品取引業者が、毎日、分別管理の法令及び社内規程 に準拠して、以下のような顧客ごとの顧客分別金の算定を 行う体制が整備され、適切に運用されている。
- 顧客分別金として分別されるべき金銭及び有価証券の 時価(その日の公表されている最終の価格又はこれに準 ずるものとして合理的な方法により算出した価格)の合 計額
上記の算定において、以下の項目が考慮されていること。 * 上記の金銭の額には、対象有価証券関連店頭デリバ
ティブ取引等を決済した場合に顧客に生ずることとな る利益の額を含むものとし、当該対象有価証券関連店 頭デリバティブ取引等を決済した場合に顧客に生ずる こととなる損失の額を控除することができること。 * 顧客毎の額の算定に当たっては、金融商品取引業者
が顧客との間において一括清算の約定をした基本契約 書に基づき対象有価証券関連店頭デリバティブ取引等 を行っている場合において、当該算定の時において当 該顧客に一括清算事由が生じた場合に当該基本契約書 に基づいて行われている特定金融取引について当該一 括清算事由が生じた時における評価額で当該顧客の評 価損となるもの(当該対象有価証券関連店頭デリバテ ィブ取引等に係るものを除く。)があるときは、当該基 本契約書に基づき対象有価証券関連店頭デリバティブ 取引等を決済した場合においても顧客の保護に支障を 生ずることがないと認められる限りにおいて、当該評 価損の額を控除することができること。
* 顧客分別金必要額の算定に当たり、金利調整額及び 配当金調整額を加減算すること。
客ごとの顧客分別金の合計額として、分別管理の法令に準 拠して行う手続が整備され、適切に運用されている。留意事 項の例としては以下のとおりである。
- 金融商品取引業者が採用する時価算定式(モデル)の 妥当性を確保する手段が講じられ、当該算定式(モデ ル)に準拠して、適切に算定されている。
- 顧客分別金算定の基となるパラメータ(変数)情報の 入手方法や入手先の妥当性を確保する手段が講じられ、 適切に算定されている。
- 独立した部署が、算定結果の妥当性を検証し、モニター している。
④ 以下の点に関して、金融商品取引業者が顧客分別金を網羅 的に算定するために、適切な取扱いが規定され、運用されて いる。
- 海外銀行口座における金銭の受領:分別金額を算定す る際に、どの時点をカットオフとするかについての方針 が明確化され、一貫して運用されている。
- 不明入金調整:受領日に内容が不明の入金に関する後 日の調整につき、分別金算定上の取扱いにつき方針が明 確化され、一貫して運用されている。
(3) 顧客分別金信託口座 に、分別管理の法令で 規定された必要金額が 預託されていること
⑤ 顧客分別金信託口座における信託財産の評価額と顧客分 別金必要額とを、分別管理の法令で規定された頻度で照合 する手続及び顧客分別金信託勘定に預託されるべき顧客分 別金必要額が、指定された信託銀行口座に預託される手続 が整備され、かつ適切に運用されている。
(4) 顧客分別金信託口座 への入出金等が分別管 理の法令に準拠し、適 切な手続の下に行われ ていること
⑥ 日次の顧客分別金必要額の算定に基づく不足額について、 顧客分別金必要額に満たない場合、満たさないこととなっ た日の翌日から起算して2営業日以内に、顧客分別金信託 勘定へ資金の移動が行われていることを確認する手続が整 備され、適切に運用されている。
⑦ 顧客分別金信託に係る信託契約の解約・一部解約は、分別 管理の法令に準拠して、以下の場合に限定されていること を確保するための手続が整備され、適切に運用されている こと。
る場合において、その超過額の範囲内で顧客分別金信託 に係る契約の全部又は一部の解約を行う場合
- 他の顧客分別金信託に係る信託財産として信託するこ とを目的として顧客分別金信託に係る契約の全部又は一 部の解約を行う場合
⑧ 顧客分別金信託への入出金が、顧客分別金必要額を満たさ ないこととなった日の顧客分別金必要額を基にして正確に かつ、適切な権限を有する管理者による承認手続を経て行 われる体制が整備され、適切に運用されている。また、入出 金の記録が、適時に正確にかつ網羅的に行われるための体 制が整備され、適切に運用されている。
(5) 顧客分別金口座帳簿 残高と当該信託銀行の 残高とを定期的に照合 する手続が存在するこ と
⑨ 顧客分別金信託勘定に関して、信託銀行から入手した報告 書と会計/帳簿記録との間で定期的に勘定残高照合が行わ れる体制が整備され、適切に運用されている。留意事項の例 としては、以下のとおりである。
- 照合の頻度は最低でも週次である。
- 顧客分別金信託への入出金業務を行わない独立した部 署等で照合が行われている。
- 照合の結果発見された不一致項目に関して、適時かつ 適切に調査・解決されている。
- 照合結果及び顛末が文書化され、管理者に報告されて いる。
4 会計、帳簿記録
統制目標 統制要点例
4- 1 口 座開 設・受 注・約定 - 対顧客 (1) 取引の妥当性(すな
わち開始されたすべて の顧客取引は実在する 相手先との取引であり 適切に承認されている こと)を確保すること
① 新規顧客口座が、適切な権限を有する管理者によって承認 され、顧客口座開設に必要な書類が取引開始前にすべて入 手され、ファイルに保管されている。
② 法令に基づき契約締結時交付書面(取引報告書)の交付 (電磁的方法によるものを含む。以下同じ。)を要しない場 合を除き、すべての取引に対して、約定後速やかに当該書面 が顧客に交付されている(営業員等に確認を省略する権限 を付与していないか等を含む。)。
ている。
④ 契約締結時交付書面(取引報告書)及び取引残高報告書 等が不正に発行されることを防止するための措置が講じら れている(意図的な発行差止め、報告書の改ざん等の防止 を含む。)
⑤ 契約締結時交付書面(取引報告書)及び取引残高報告書 等に対する顧客の返答及び顧客からの苦情等が報告・対 応・解決されている。
⑥ 誤注文等による手違いの取引が、発見されるための措置が 講じられている。
⑦ 取引の取消及び修正が適切な権限を有する管理者によっ てなされている。
(2) すべての取引が入力 され、取引処理され、報 告されること
⑧ 顧客から受けた注文が、漏れなく注文伝票その他帳簿に記 入され、必要に応じて適切な権限を有する管理者によって 承認され、取引処理システムに入力されている。
⑨ 各取引に約定伝票(執行結果)が適切に割り当てられる ための措置が講じられている。
⑩ 顧客名、口座番号、受注・約定日時、銘柄名、数量、価格、 売り又は買い等の主要な取引情報が漏れなく入力されるよ うな措置が講じられている。
(3) 約定された取引が、 自己又は顧客、顧客名、 口座番号、受注・約定 日時、銘柄名、数量、価 格、通貨、金額、売り又 は買い等の主要な取引 情報に関し正確に記録 され、取引処理され、報 告されること
⑪ 注文伝票その他帳簿と約定データが照合されている。ま た、照合で差異が生じた場合、速やかに調査され、解決され ている。
⑫ 有効でない口座番号(正規の承認を受けて登録された口 座以外)、銘柄コード、取引日等が、システム上受け付けら れないための措置が講じられている。
⑬ 約定後速やかに、全ての取引先との間で、取引が確認され ている。また照合で差異が生じた場合、速やかに調査され、 解決されている。
4-2 約定 - 対市場 (1) 実行された取引が、
決済処理及び会計処理 のため、漏れなく入力 されていること
(2) 実行された取引が、 金額、数量、通貨、相手 先、日付、銘柄、自己又 は顧客等の主要な取引 情報に関し正確にかつ 適正な勘定に記録され ていること
② 実行された取引が、主要な取引情報に関し正確に記録され るための手段が、取引入力時に講じられている。
③ トレーダーの把握している自己ポジションと取引処理シ ステムのデータとが照合されている。また、照合で差異が生 じた場合、速やかに調査され、解決されている。
④ 約定後速やかに、全ての取引先との間で、取引が確認され ている。また照合で差異が生じた場合、速やかに調査され、 解決されている。
4-3 取引の決済(対 顧客、対市場)
(1) 顧客の有価証券及び 金銭の移動が、有効な 取引に関してのみ行わ れるか、あるいは適正 な顧客の指示に対して のみ行われ、かつ適切 に承認されていること
① 有価証券及び金銭の移動が、有効な取引に関してあるいは 適正な顧客の指示に対してのみ行われ、かつ適切な権限を 有する管理者によって承認されている。
② 以下の機能に関し、適切な職務分掌規程が作成され、適切 に運用されている。
- 取引実行 - 取引記帳 - 取引確認
- 取引決済(金銭及び有価証券) - 残高照合
(2) 承認された有価証券 及び金銭の移動が、会 計処理のため網羅的に かつ、金額、数量、銘柄、 通貨、顧客名、日付、受 け又は渡し等の主要な 取引情報に関し正確に 記録され、適切な勘定 に記録されていること
③ 第三者機関に保管させることにより管理している有価証 券の残高が、第三者機関の記録と定期的に照合されている。 また、照合の結果発見された差異が、速やかに調査され、解 決されている。(2-3(4)⑨参照)
④ 自社で保管することにより管理している有価証券は、定期 的に実査されている。(2-2(2)参照)
⑤ 振替法に基づく振替口座簿において管理している有価証 券の残高が、第三者機関の記録と定期的に照合されている。 また、照合の結果発見された差異が、速やかに調査され、解 決されている。(2-4(2)参照)
⑦ 取引処理システムにおける金銭・有価証券の予定決済額 と実際決済額とを適時に照合している(例えば、決済日に 予定決済額で自動起票されている場合の、実際決済額との 照合等)。また、照合で発見された差異が速やかに調査され、 解決されている。
⑧ 不明入金等が速やかに発見され、調査・解決されるための 措置が講じられている。
⑨ フェイル及び搬送中の有価証券が、適時に解消されること を確認するための手段が講じられている。
⑩ 独立した部門等による銀行勘定残高照合が日次で行われ、 発見された差異が速やかに調査され、解決されている。 4-4 マスター・デー
タ及び累積データ (1) マ ス タ ー ・デー タ
(顧客名・口座番号・ 住所・決済口座等の顧 客データ、銘柄データ 等)への変更が承認さ れ、網羅的に、かつ、変 更内容に関し正確に入 力されていること
① マスター・データに対する修正が、適切な権限を有した管 理者の承認を得ていることを確保するための措置が講じら れている。
② マスター・データに対する修正記録が保存され、修正が正 確にかつ完全になされていることに関し、適切な担当者に よるチェックが行われている。
③ マスター・データを管理するシステムにエラーがあった 場合に備えたバックアップ体制が構築されている。
(2) 売買取引、有価証券 及び金銭の受払いに関 する入力が、トレーデ ィング商品勘定元帳、 顧客勘定元帳、保護預 り有価証券明細簿、保 管場所別有価証券台帳 (金融商品取引業者が 占有する有価証券を保 管場所別に記録した台 帳)等のデータベース に正確に反映されてい ること
④ 保管場所別有価証券台帳その他帳簿上の勘定が、取引の開 始、約定、決済毎のそれぞれの総額(有価証券及び金銭双 方)について適切に更新されていることを確認するための 措置が講じられている。
⑤ 間違った勘定に入力されることを、防止し又は発見するた めの措置が講じられている。
⑥ 保管場所別有価証券台帳その他帳簿間において、日々の取 引記録が適時に照合されている。また、照合の結果、差異が 発生した場合、速やかに調整され、解決されている。
券・金銭の移動及びそ れらの修正に関する累 積データが、保管場所 別有価証券台帳その他 帳簿間の関連勘定にお いて整合していること
また、照合の結果、差異が発生した場合、速やかに調整され、 解決されている。
⑧ 商品残高、現先残高、貸借取引残高が、帳簿間で照合され ている。特に、自己の商品残高に関しては、受渡日基準の残 高と約定日基準の残高との照合がなされている。
4-5 資産及び記録に 対するアクセス制限 (1) 承認された従業員し
か、資産及び会計/帳 簿 記録(マ スタ ー・ デ ータ、金銭・有価証券 の 決 済 デー タ を 含 む。)にアクセスでき ないこと
① 有価証券が移動する場合はすべて、受渡指示書(受渡日、 銘柄、数量、送付先、承認印等が明記されたもの)が作成さ れ、当該指示書を元に保管場所別有価証券台帳その他帳簿 が更新されることを確認する措置が講じられている。 ② 自社保管の有価証券はすべて鍵つきの金庫に保管され、当
該金庫へは承認された従業員しかアクセスできない措置が 講じられている。
③ 金庫にアクセスする場合は、2人以上の従業員で行うこと を確認する措置が講じられている。
④ 受渡指示書なしには入出庫が行われず、かつ入出庫の際に 現物と受渡指示書の照合及び保管責任者の検印が行われて いる。
⑤ 保管担当者は受渡指示書の承認印の正当性を確認してい る。
⑥ 会計/帳簿記録が証券保管担当部門等の資産を管理する 部署から独立した部門によって管理されている。
⑦ 有価証券の実査が、証券保管担当者及び会計/帳簿記録担 当者から独立した者によって行われている。(2-2(2)参 照)
⑧ 帳簿記録の修正は、適切な相互牽制を可能にする承認され た部署・従業員によって行われていることを確認するため の措置が講じられている。
⑨ 帳簿記録の修正が、承認されていることを確認するための 措置が講じられている。